2012年8月10日 全国商工団体連合会
会 長 国分 稔
民主党・野田内閣は本日、参院本会議で税率を10%へと段階的に引き上げる消費税増税法案と社会保障の解体を進める「一体改革」法案の採決を強行した。長期のデフレ経済と大震災からの復興に懸命の努力が続く下、厳しい経営と暮らしを余儀なくされている中小業者・国民の実態をかえりみず、3党の談合による「増税大連立」で消費税増税を強行する暴挙に、満身の怒りを込めて抗議する。
民自公3党が密室で談合した法案は、参院での審議を通じて「社会保障と税の一体改革」とは名ばかりで、国民には消費税増税のみを押しつけ、社会保障は「自助と共助」を強調し憲法25条でうたう国の責務を投げ捨てることが明らかになった。このことは政府が閣議決定した「日本再生戦略」でも、社会保障分野も含め「聖域を設けず歳出全般を見直す」とし、社会保障のいっそうの切り捨てを図る方向が示されたことからも明らかである。
また、付則18条2項に「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」ことを明記し、増税分は財界が望む大型公共事業に充てることが鮮明になった。防災を理由に高速道路や新幹線を整備する公共事業拡大に突き進むことで3党が一致したことは、「増税は社会保障のため」というのはごまかしで、まさに「公共事業のための大増税」が真の狙いであることを浮き彫りにした。
衆院通過後も、過半数が消費税増税に反対という国民世論は揺るがず、「今国会での採決に反対」が6割に上ったように、民意は決して消費税増税を認めていない。民主党を分裂させ、事実上の「死に体内閣」に追い込み、野党6党7会派が野田内閣の不信任案や首相問責決議案を提出したのは私たちの運動の成果である。しかしながら消費税増税に固執する民自公3党は「消費税増税法案成立後は近いうちに国民に信を問う」と密室合意し、不信任案を否決した。暴挙を強行してから「信を問う」などというのは、議会制民主主義を蹂躙する党利党略そのものであり、断じて認められない。
中小業者・国民は消費税増税法の廃止・停止を強く求める。逆進性や価格に転嫁できず身銭を切る問題、輸出戻し税の矛盾はなんら改善されないまま、むきだしの消費税増税を押し付けることが景気悪化と税収低下を招くことは明らかである。中小業者の経営を破壊し、雇用と地域経済を破壊するものであることは、各種調査で「消費先細りで税収も低下」「業績に悪影響」などの結果が示している通りである。景気の底を割り日本経済を未曾有の危機に陥れる懸念が広がっており、このまま消費税増税を強行することは許されない。
民商・全商連は、3党増税勢力の「信を問う」という挑戦を正面から受け、来るべき総選挙で厳しい審判を下し、国会の力関係を変えて消費税増税法の廃止・停止を展望する国会の実現をめざし全力でたたかう。生活費非課税や応能負担という税の原則に立ち返り、大企業や富裕層への応分の課税を求めるとともに、広範な中小業者・国民との共同を広げ、消費税増税を断念させるたたかいに引き続き全力を挙げることを表明するものである。 以上